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【ゲーム論】MMORPGと価値観のリセット

MMORPGの育成におけるゲームデザインをタイプごとに分類すると、以下のようになると思う。
キャップ開放スケール形式キャップ開放やエンドコンテンツの追加といった、縦方向のアップデートがメインのタイプ。
ワールドオブウォークラフトや、ファイナルファンタジー14ツリーオブセイヴァー等、
最近のMMORPGでよく採用されている。

コンテンツ追加とともに、それまで実装された部分をスケール(スキップ)させるので、
長期的にサービスを続けても、差が付きにくく、ライト層から廃人まで、幅広く価値観を
共有させることが出来る。
転生ボーナス形式転生(レベルのリセット)をすることで、育成し直す代わりにキャラが少しだけ強くなるタイプ。
マビノギや、ラグナロクオンライン(特にエミュ)、最近だとDead Frontier2で採用されている。

コンテンツを何度も再利用できる上に、繰り返すことで、強くなったことを再認識できる。
プレイヤー間で大きな差が出にくいので、遊びの幅を合わせやすいというのもある。
コレクション形式属性ごとにギア(装備)を集めたり、キャラクターを育成をしたりするタイプのゲーム。
前回の記事で書いたソシャゲMMORPGや、マビノギのスキル、ROのカードなんかもこれに含まれる。

ギアやキャラの追加といった、横方向のアップデートがメインで、スケール形式に比べて
価値感のリセットが比較的緩やかであり、ものによっては、初期に実装されたものが最後まで
高い価値観を維持することもある。
上限付きスキル割り振り形式キャラに役割や個性を持たせることで、プレイヤー同士のやり取りに遊びの焦点をあてたもの。
ウルティマオンラインや、マスターオブエピックで採用されている形式。

スケールはほぼ無く、成長の上限が比較的低いので、プレイヤー間の差が出にくい。
成長を楽しむというよりは、純粋に仮想現実としての生活を楽しむMMORPGと言える。
この分類は、あくまでも度合いの問題で、どれか一つに属するというわけでは無い。

リストの下に行くほど、プレイヤー間の差が出にくく、成長は実感しにくい。
逆に、上に行くほど、成長を実感できるけど、プレイヤー間の差が広がりやすい。

そして、どのMMORPGも多かれ少なかれ『キャップ開放スケール形式』に当てはまると言える。

だから、アップデートと共に、スケールを行って差をなくすわけだけど、
それは今までの努力や物に対して『価値観のリセット』が行われることを意味している。

成長を楽しむことはとても重要だけど、僕はこの『価値観のリセット』を快く思っていない。

今回は、その解決方法の一つとして、上記のどの形式とも違う、『リセット形式』の
MMORPGの可能性について、Path of Exile(POE)を例に考えていきたいと思う。
 

リセットを前提としたデザインのPath of Exile

知らない人もいると思うので、POEがどんなゲームなのか、簡単に紹介したいと思う。

20181023_101.png

これは、このゲームのパッシブスキルツリー。
これ以外にも、文字通りユニークな性能を持ったユニーク装備や、スキルが豊富にあり、
ビルドゲーとして非常に奥深い遊び方が可能となっている。



これだけ複雑なゲームではあるものの、公式のフォーラムに、自分の考案したビルドを紹介できる
専用のスペースが設けられているので、ライトプレイヤーは、ヘビープレイヤーが考えたビルドで
自分に合ったものを選ぶことが出来、敷居はそれほど高くない。

このゲームがなぜリセットを前提としたゲームデザインをしているのかというと、
『リーグ』という期間限定のサーバーが定期的に開かれるところにある。

Leagues.png

この期間限定のサーバーの特徴は以下の通り。
・最新の大型アップデートが先行して適用(テスト)される。
・定められた目標をこなすことで限定のハウジングアイテムやペット、コスチュームが手に入る。
・終了時に、常設リーグへデータが移される。その際、アップデートも同時に適用される。

このリーグ制を導入することで、今まで実装されたコンテンツを腐らせることがなく、
同時にアイテムの価値観もリセットされるので、常に新鮮な市場を楽しむことが出来る。
さらに、本来ならちゃぶ台返しと言われるバランス調整が、ゲーム性として評価される。

このため、基本的に、この期間限定リーグを目的に遊ばれることがほとんどであり、
常設リーグは価値の失ったデータの行先として『ゴミ箱』と呼ぶプレイヤーも少なくない。

期間限定リーグには、死んだら終わり(ノーマル落ち)のハードモードが存在し、
こちらは目標以外に、ランキングも存在するので、競技性が非常に高くなっている。

ある意味、オンラインゲームの最初の賑わいを楽しむことを主体に置いたゲームデザインと言える。

ちなみに、上記の説明は、リーグの中でも『チャレンジリーグ』と呼ばれるもので、
特定のルールでランキングを競う『臨時リーグ』というものも存在する。
だから、大抵何かしらの期間限定サーバーが開かれていると思って問題ない。

また、このシステムは『シーズン』という呼称で『ディアブロ3』にも採用されている。

この『リセット形式』のゲームデザインは、少し手を加えることで、MMORPGに最適な
形として流用することが出来るのではないかと僕は思っている。


『リセット形式』のMMORPGとは?

僕にとってはMOもMMOも大きな違いは無いと思っているので、POEにおける『リセット形式』の
MMORPGは既に確立したタイプと言える。

ある意味、名前を変え、運営を変えて再始動する量産型MMORPGもこのタイプと言えるかもしれない。


タイ公式動画もおすすめw)

違いは、リセットを前提にしたゲームデザインかどうかといったところだろうか。
なので、最初のタイプ分けで言うところのハイブリッド形式として、最適な形を考えてみたい。

といっても、サンプルが無いと分かりにくいと思うので、『ツリーオブセイヴァー』
イメージして続きを読んで欲しい。
開催間隔と期間開催間隔は開発速度にもよるけど、少なくとも年に2回は開催するのがいいと思う。
期間は、POEにおける『リーグ』が通常約3~4か月程度なので、1回3か月程度とし、
最初の2か月がランキング期間、残りの1か月を軽減期間とする。
ランキング期間と軽減期間ランキング期間は、文字通り、ランキングに影響する期間で、課金関係のボーナスやアイテムが
一切影響しない、競技性を重視した期間となる。
ランキングは、『レベルをカンストする』、『エンドコンテンツの制覇』といったものが対象で、
ランキングに乗ると、町中のオブジェクトに名前が永久に掲載される。

軽減期間では、ライトプレイヤーや、常設サーバーを主体に遊ぶ人が、変更点のチェックや
チャレンジ項目の達成を目的とするもので、課金関係のボーナスや課金アイテムの使用が
解禁される。
また、『メイプルストーリー』で行っているような、ポイントを介した公式RMTも利用可能になる。
チャレンジと報酬チャレンジの内容は『特定のアイテムを入手(製造)』や、『ワールドボスの撃破』といった
明示的なものから、冒険日誌のような雑多な目標まで、達成することでポイントがたまり、
期間終了時にこのポイントを使って報酬と交換することが出来る。
(データは本サーバーに統合)

報酬は記念品系と、交換するたびにレートが上がる消耗品系に分けられる。

記念品系
・限定称号
・限定ペット
・限定コスチューム

消耗品系
・金床、ジェム、カード系
・ビルドリセット系
・課金ポーション系
MMORPGでは新規に人を集めたい場合、新規サーバーを立ち上げることはよくあるけど、
それを大型アップデートのタイミングで、イベントとして行うことで、
・さらなる集客効果
・本実装前のバランスチェック
・新旧プレイヤーが同一の価値観で遊ぶことが出来る
・遊びの幅を合わせられるので、スケールを緩やかに出来る
・終了後も、新旧プレイヤー同士、遊びの幅を合わせることが出来る
といった効果を期待することが出来る。

また、他ゲーメインのプレイヤーも、この期間はポイントや、MMORPGにおける一番面白い
時期を楽しむために遊びに来ることを期待できるし、自然と資産が溜まるので、他ゲーに
飽きた時にスムーズに移住を促すことが出来る。

ちなみに、期間限定サーバー終了後のつなぎの期間は、相当魅力のあるイベントを
実装出来ないとPOE同様『ゴミ箱』になってしまう。

最も適しているのがグラブルにおける『古戦場』のようなPvEを主体とした集団競争イベント。
具体的な説明は、長くなりすぎるので割愛するけど、期間限定サーバーで知り合った
新旧プレイヤーが、力の差があっても協力し合えるので最適だと思う。


最後に……

僕が小学生の頃、クラスメイトがドラゴンボールの話で盛り上がっているのが苦痛だった。
その理由は、僕がバトル漫画化した後のドラゴンボールを好きになれなかったから。

僕は子供ながら、ドラゴンボールが毎週戦闘シーンばかりで、しかも全然進まない。
早すぎて見えない状態で戦ってたりするのを内心冷めた目で見ていた。

だけど、みんなが楽しんでいるところに、ネガティブな発言をすることは難しい。

ドラゴンボールに限らず、バトル漫画自体、パターン化された内容やインフレに、
今までの努力や成長が、都合のいい、なんか安っぽいものに見えて嫌だった。

でも、僕の気持ちとは裏腹に、大抵の作品は、バトル漫画化してからの方が人気が高かった。

『価値観の違い』

本来ならばその言葉だけで終わることなんだけど、無視できない問題に発展してしまう。
それは、僕の好きな漫画もバトル漫画化してしまうということだ。

これは、MMORPGにも同じことが言える。

長期連載しやすく、子供から大人まで受けるバトル漫画。
長期運営しやすく、ライトからヘビーまで受けるスケール形式のMMORPG。

ある意味、MMORPGはバトル漫画化していると言えるだろう。

昨今のクリエイターは、この『バトル漫画化したMMORPG』が全てだと思っている人がとても多い。
でも、それって本来のMMORPGらしさとは対極にあるような気がしてならない。

バトル漫画化はあくまでも度合いの問題なのだろうけど、少数派の価値観を持つものとしては、
ブログを通じて少しでもその流れを変えることが出来ればなと思う。
 

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