Entries

【ゲーム論】MMORPGにとって最も重要な要素

『MMORPGにとって最も重要な要素は何か?』

この質問に、おそらく、ほとんどのクリエイターが『コミュニケーション』と答えるのではないだろうか?
実際、僕は数人のディレクターにこの質問をしたことがあるのだが、みんな口をそろえて『コミュニケーション』と答えた。

でも僕はそれは間違いだと思っている。
確かに、『コミュニケーション』が最も重要な要素だった時代はあった。
それは、昔リネージュが『魔性のゲーム』と呼ばれていたぐらい過去の話だ。

でも今は違う。
今の時代のMMORPGにとって最も重要な要素は『価値観の共有』だ。
昔のMMORPGはこの『価値観の共有』がうまくできていたからこそ『コミュニケーション』が重要な要素だったのだ。

では、具体的に『価値観の共有』が何なのかを説明すると……

ニートがひたすらポリンを狩りを続けて「俺なんでこんなことやってるんだろ……」と思い始めていたとする。
(※ポリンとはラグナロクオンラインの雑魚モンスター。ドラゴンクエストにおけるスライムのようなもの)

そんな時にビルゲイツがツイッターで「ポリン狩りなう」とつぶやいたとする。
すると、ニートは倉庫にたまった大量のべと液の画像を自慢げにツイッターにアップし、意気揚々とポリン狩りを再開する。

この例えで伝わるかどうか不安ではあるが……w
簡単に説明すると、ビルゲイツの資産からポリンを狩るという作業は、時給換算すると相当なものになる。
それと同じことを生産性0のニートがするわけだから、その行為自体に価値があると錯覚するのである。

これはMMORPGに限らず全てのオンラインゲームに共通することだと言える。
そして、この『価値観の共有』がうまくいかなくなったことが、日本でMMORPGというジャンルが廃れた原因なのだと思う。


◆価値観の共有は最高のコミュニケーションツール

昔お世話になっていた社長と飲みに行ったときの話に、特に印象に残っているものがある。
その社長は、海外旅行をするのが趣味で、その時は、僕に海外旅行の素晴らしさと、
僕も行くべきだとしきりに海外旅行を薦めていた。

もちろん酒の席なので、本気じゃないことはわかっていた。だから、僕も適当に話を合わせ、こう尋ねた。

「いやぁ、でも、外国人と一体何を話したらいいんですか?」

すると、社長は笑いながらこう答えた。

「そんなもん、『サッカー』か『ポケモン』の話をすればいいんだよ。日本のゲームは海外でも人気だから、
ゲーム作ってるって言ったら人気者になれるよ」

僕はなるほどなと思った。
これは外国人だけじゃなくて、友達や家族、ほぼすべてのコミュニケーションに当てはまる。
話をするにしても、共通する話題が無ければ盛り上がらない。

さらに言ってしまえば、この話に出てきた『サッカー』も、本来はただの遊びに過ぎない。
なぜ仕事(スポーツ)として成り立つのかといえば、それに価値を見出す人がいるからだ。
これは、近年ゲームがEスポーツと呼ばれるようになったことと同じ意味だ。

そういう意味合いでは『価値観の共有』は全てのことにおいて重要なことなので、
『MMORPGにとって最も重要な要素』の答えとしてはずるいともいえる。
だけど、昨今のMMORPGを見ると、これに気付いていないクリエイターが多いのも事実なのだ。


◆MMOのMO化と、それがもたらす問題点

最初に、ビルゲイツがポリンを狩ることで、ポリン狩りに高い価値観が生まれるといった話をしたと思う。
だけどそれは全く逆の意味も合わせ持つ。
それがBOTの存在だ。

例えば、眠い目をこすりながら必死でポリンを狩っているプレイヤーがいたとする。
その横で、機械的な動きをするキャラクターがポリンを狩っていたらどう思うだろうか?
あまりにもバカバカしい。
RPGにおいて、こういったつまらない作業は、プレイに緩急を付け、より大きな達成感を得るために重要なことなのだが、
それに水を差されてしまうのだ。
そして、BOTが存在するということはRMTも存在する。
ちょっと調べれば、RMTサイトを通じて、ポリン狩りの自給換算までできてしまう。
つまらない作業に安い賃金まで提示されてしまうのだ。
これではオフゲーをやっていた方がいい。

僕はこれがMMOがMO化している最大の理由なのではないかと思っている。
具体的には、インスタンス化することでゲーム性を高めることができ、独立したゲームとして楽しめる。
それに、BOTが目に付く機会も減らせる。

ただし、いくら独立したゲームとはいえ、繰り返し遊んだら作業になる。
そうならないためには、絶えず新しいコンテンツを追加し続けなければならない。

大抵はこれができない。
だから、入場回数に制限を設けるなりしてなるべく長く遊ばせようとする。
また、簡単にクリアされても困る。
少しでも攻略難度に余裕を与えてしまえば、数あるコンテンツをすっ飛ばしてエンドコンテンツに到達してしまうからだ。
コンテンツを小出しにすればいいのだろうが、それではニュースにならないし、追加パッケージにできない。

そして、ここに『コミュニケーション』が加わると、『コミュニケーションの強要』という新たな問題に発展してしまう。
そもそも、ほとんどのユーザーはコミュニケーションをとりたくてMMORPGを始めたわけでは無い。
他にプレイヤーがいた方が面白いからMMORPGをするのだ。

ひょっとしたら、やるかやらないかはプレイヤーの判断に任せられるから関係ないと思う人がいるかもしれない。
元々MMORPGというのは、どう遊ぶかプレイヤーが決められるのが売りだったわけだから、そう思うのも無理はない。
だけど、価値観の共有が成り立つ限り、そこにうまみがあれば、嫌でもやらなければならない。
やらないという選択を取った時点で、価値観の共有が消滅し、ゲーム自体やる価値を失ってしまうのだ。
そして、やめる人が増えると、『価値観の共有』により、他のプレイヤーもやる価値を失ってしまう。

とてもいいにくいが、FF14なんかはこれが顕著で、エンドコンテンツが『連帯責任イライラ棒』。
苦労して手に入れた装備は、アップデートで簡単に型落ちしてしまう。
ある意味「価値観の共有」という概念とは逆行しているものの、ファイナルファンタジーというブランド力と、
ゲーム外でのアピールで強引に価値観を共有させているように見受けられる。

MMORPGというのは、作って終わりではない。
概念を理解せずに、他のゲームを参考にしても、正しい進化が遂げられるとは限らないということだ。


◆価値観の共有から見たソーシャルゲーム

ここまでの話はなぜMMORPGが衰退したかの説明だった。
しかし、なぜソーシャルゲームが流行ったのかも『価値観の共有』で説明することができる。

例えば、ガチャが1回100万円だったとして、誰も回さなければそれにそんな価値は無い。
でも、実際に回す人がいたらどうだろうか?
APなんかも実際に買う人がいるから、そこに価値観が生まれる。
(※APとは、時間で回復するゲームをプレイするために必要なポイント)

ソーシャルゲームは、課金形態がアイテム課金であり、それも、Pay to Winが当たり前だ。
プレイヤーも、極一部の廃課金者が売り上げのほとんどを占める形となっている。

つまり、富裕層と貧民層の価値観を共有させることで、貧民層は無料でガチャやAPを貰えてお得感を味わうことができる。
これは、最初にビルゲイツがポリン狩りをすることでその行為に価値が生まれるといった理論と同じことだ。
アルバイトのできない学生にとって、金持ちと価値観が共有されるということは、遊ぶことでお金稼ぎができるということだ。
そして、人が集まることでそこに価値観が生まれるので、富裕層も沢山お金を落とすのである。

といっても、理屈が分かったところで、そんな口で言うほど簡単にはいかない。
実はほとんどのソーシャルゲームが『価値観の共有』に特化されたデザインになっていたりする。

・媒体がスマホ
 PCと違い、スマホは誰でも持っている。特に、バイトもできない学生が自由にできる媒体というのは、
 重要な貧民層を集めるのに最適。

・無料ガチャ、APの自然回復
 貧民層がお得感を感じることができるとともに、廃課金者を見かけても、希望を持てるようになる。

・取引ができない。
 無料ガチャを実現するために必要なことだけど、それ以外にも、チートやBOTの影響を最小限にとどめることができる。

・PvEによる対人要素
 対人要素があっても、実際にプレイヤー同士で戦うということはほとんどない。
 廃課金者との力量の差に対する不満を軽減でき、BOT、チートが直接目に触れる機会を減らすことができる。

・完全にNPC化されたプレイヤー
 RPG系限定だが、クエストに出発する際に、手伝ってくれるプレイヤーを選択するあれ。
 足の引っ張り合いはないので、力の差が歴然でも、萎えるより感謝の念のほうが強くなる。

・頻繁に行われるコラボ

他にも、ちょっとした時間でできる手軽さや、演出に特化している点は、PRがしやすくなるという利点がある。
何度も例に出しているビルゲイツだが、実際は子供たちに大人気なヒカキンだったり、MAX村井だったりするわけだ。

ソシャゲが流行ったのは、ギャンブル性の高さや射幸心を煽るからといったことだけではない。
『価値観の共有』がうまくいったから流行ったのだ。

ソシャゲの開発自体も、当たれば儲かるみたいな話があるけど、完全なギャンブルというわけでは無い。
概念を理解せずにこのジャンルに勝負を仕掛けるのはただのバカだ。


◆まとめ

この記事を見ている人の中にはBOTやRMT、チートがそんなに致命的な影響を与えているのかと疑問に思う人がいるかもしれない。
だけど、数か月ハマったゲームも、ずるをすれば1日で熱が冷めてしまったりするものだ。
これは、ゲームデータをいじったことがある人ならわかると思う。
MMORPGでは、コミュニケーション機能の充実により、それらが嫌でも目に付いてしまう。
そして、『価値観の共有』により、簡単に価値が無くなってしまうのだ。

以前爆発的な人気を博した『艦これ』なんかはゲーム自体にコミュニケーション機能はほとんどなかった。
ある意味、価値観の維持のためにはコミュニケーション機能を制限してしまった方がいい場合もあるのだろう。

それぐらい、『価値観の共有』というのはMMORPGのみならず、オンラインゲーム全般にとってとても重要なことなのだ。

ただ、勘違いしないでもらいたいのは、『コミュニケーション』が全く必要ないということでもない。
そもそも、人と人との思い出には何ものにも代え難い価値がある。
値段なんてつけることはできない。
コミュニケーション機能の充実は、価値観を損なう原因となるが、最大の価値観を生み出すのもまた、『コミュニケーション』なのだ。

今回の記事では具体的にどうすればいいかといったことは書いていない。
でも、『価値観の共有』を意識すれば、どうすべきかおのずと見えてくると思う。

オンラインゲームを作っているクリエイターは是非とも、この記事を参考に、僕が面白いと思えるゲームを作ってもらいたい。
というか、もし僕に20億投資できるゲイツがいるなら自分で作るので、是非とも連絡してほしいw

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://nekosuji.com/tb.php/71-4a32507d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Appendix

プロフィール

 ねこすじ

 Author:ねこすじ
 ねこ一筋 めこすじ です。

アクセスカウンター

 
 (閲覧者数)

Appendix

検索フォーム

 

ブログ項目選択

 
 
 

最新記事

【TOS】R9環境のビルドを考える……アーチャー編 (11/16)

【TOS】釣りイベ最終日 (11/15)

【ゲーム論】2001年度秋ゲームショウレポート (11/12)

【ゲーム論】2000年度秋ゲームショウレポート (11/10)

【雑記】72時間ホンネテレビとスマップについて思うこと (11/09)

最新トラックバック